2010年01月

ある患者さんが治療の時、
「『ガシャン!!』と落ちるベットで治療されて、その度助手みたいのが指で輪っか作って「OKです」とか言うんだよ。」
「何がOKなんだかわかんないけど、ちっとも良くなりゃしないんだ。」
そうだ。

トムソンテクニックみたいなことをして、結果をO-リングテストで確認しているんでしょう。
カンに頼るよりは良いんでしょうけど、たいして効いてないんじゃねぇ。
行き先不明のH君の治療と同じだ。

キネシオロジーで、チャレンジという治療の是非を決める予備検査のようなことをします。
チャレンジでも、筋肉テスト(O-リングテストみたいなもの)が一時的に変化します。
そしてその効果は、時に数分そのままだったりします。

で、こういう筋反射で変化するけど主訴が全く取れない治療って、キネシオロジーのチャレンジみたいなことを重ねているだけなんじゃないかと思うときがあります。
ちょっと筋力が変化したら「はい、OK」
そんな簡単なもんじゃないと思います。
それは、その姿位のその場合でしかないですし、もっと刺激が必要かもしれないのです。

私は無痛治療とかにこだわってないのですが、ある程度結果が出ていても、患者さんをいろいろなかたちで負荷をかけて再検査をします。
すると、ベッドでねてると良くても、日常に近い状態に近づけて検査すると全然ダメということが多々あるのです。

こういうチャレンジの延長みたいのをもって、治療と称しているものが多いような気がしてならない今日このごろであります。

私の施術は、自分なりに工夫して「あ~でもない、こ~でもない…」とやっているので、見た目節操がない治療です。
自分でも時々「もっとスマートにいかないもんかねぇ?」と、思います。

これは私の治療観から来ているものだろうと思います。
そしてもとを辿れば、師匠 加瀬建造D.C.の影響でしょう。

加瀬先生は、お話をしていると、どちらかというとオステオパシー的な診方をされていると感じます。
一番カイロプラクターらしくないD.C.かもしれません。
でも当たり前ですが、アジャストも恐ろしく上手いです。
今日本で多く使われているテクニックも、お若いときにひと通り学ばれてはいるみたいです。

もちろんどんなものでも完璧なものはないですから、治らないこともあるわけです。
そうするとそこで諦める人、もっと練習する人、いろいろあると思います。
加瀬先生は、
「なんかもっと良い方法があるんじゃないか?」
「根本的に考え方を変えなきゃいけないんじゃないか?」
と考える人です。
そして自分で工夫し始めるタイプです。
人が作ったものをその通り踏襲出来ない癖もあるようですが・・・。

日本に帰られて鍼灸按摩マッサージの学校に行きながら、
「揉んではいけない」といい。
その後も
「温めてはいけない」
「背骨は大黒柱ではない」
「人間は風船である」
「ストレッチは危険」
と、今では一理あると思いますが、当時はビックリ仰天なことを連発しました。

ナショナル卒なので、薬と手術に頼らなければ、カイロプラクティック的でなくてもいろいろやります。

そして、独自の加瀬理論が出来上がり、キネシオテーピングやその他、加瀬先生オリジナルな治療が確立されていきました。

そこには、患者さんを前にカイロがどうというより自然医療を実践するものとして、二つのお手々で何が出来るかということを大切にされていると感じます。
既存の治療テクニックも自身の理論の中でどう使うか、合うものがなければ新たに見つけるか作り出す。
そうやって、常に疑問を持ち創意工夫をし続ける。

そんな師のもとにいた私は、治療家としてはある意味イビツな感じであり、スマートさはなくなってしまいました。
でも、案外満足していますし、加瀬先生の考え方が好きです。
そして今日も無骨な施術をします。

先日以前務めていた治療院にご挨拶

院長に言われて一番若手のH君の練習台に

せっかくだから、きちんと検査して、
何がどうなっているのか
どんな施術をするのか
なぜそうしたか
「いちいち説明しながらやってください」と、お願い。

H君、検査は出来るが、それをもとにした診立てが全然できない。
「俺、そこが弱いんですよね…。」

オイオイ(-_-)/ピシー!ピシー!

「そこが一番大事なんだから、そこが弱かったらどうしようもないだろう。」
「てか、そこしかいらんくらいだよ。」

「どんな治療観や健康観を持っていてもいいんだけど、これが概ね正常というものがあって、それから外れているものを検査で見つけて『あなたの体はこうなってますよ』ていうのがあって初めて治療になるだろ。」
「ただ闇雲に検査して『〇〇テストが陽性でした』『〇〇筋が弱いです』『頚椎の○番がLPです』じゃ「それで?」てなっちゃうだろ。」
「その異常を総合的に見て『この人の身体がこういう状態にある』っていうのを説明できなきゃ、何して良いか分かんないし、行き先不明の治療は治療じゃないだろ。」
「だから自分がどこ触ってっかわかんないんだよ。」
「『何時でも院長の代わりができます』って感じで常に考えてないからそうなるんだよ。」

若くて真面目なH君、ちょっと厳しかったかな?
でも期待してます。
あなたのぐらいのキャリアだともう少しできてもおかしくないです。
ガンバレ!!
素地はあるんだから、意識が変われば一気に成長します。

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